雨の日の遺品整理
雨の日の夜の事でしたが、雨が好きではない私は少し憂鬱な気持ちで過ごしていたところに、葬儀社からの電話が鳴り、話の内容を聞いていると孤独死に関わるもので、亡くなってから20日も経って発見された場所なので、臭いが酷く倒れていた部屋の掃除と臭いを取ってほしいとの依頼でした。
21時を回っていましたが、自分に気合を入れて現場に向かったのですが、現場に着くや否や、管理人や大家や近隣の部屋に住んでいる方々に囲まれて、早くしてくれとか、病気になりそうだとか、わめくように言葉を発するのに対してイラっとしましたが、すぐに作業に取り掛かるのでもう少し待って下さいと言い、作業用具を取りに車に戻りました。
すると建物に隠れるようにしてオドオドしている2人がいましたので、遺族の方ですかと声をかけると、兄弟で来られていたらしく、見た目は70歳くらいの高齢で、言葉のイントネーションから東北の方だというのは直ぐ分り、とても小柄な方でした。
怯えている様子から、先ほどの近所の人たちに酷い言葉を浴びせられたのだと思い、一緒に部屋に行きますかと尋ねると、ここに居ますとの事なので、そそくさと4階にある部屋へ向かい作業を始めることにしました。
ウジ虫と落雷
部屋に入るなり臭いは勿論のこと、台所の水回りには無数のウジ虫が湧いており、あまりの数の多さに呆然としてしまい、慣れているとは言ってもさすがに悪寒が全身に走り、気を取りなおしてウジ虫を殺す殺虫剤をまき散らし、動きが弱まるのを待ってからごみ袋に入れていったのですが、ゴミ袋の3分の2がいっぱいになるほどの量になりましたので、その数は想像できるかと思います。
ウジ虫を取り除いてから、腐敗している肉片や皮膚などが付着している床を洗剤を使って洗い出すのですが、著中で落雷が落ちて、電気がすべて消えて部屋の中が真っ暗になり、ウジ虫などを退治した手袋をして手探りで部屋の外に出るわけにもいきませんので、ただじっと電気が回復するのを待つことにしました。
電気は30分くらいで付き、洗浄の続きと臭いを取るために作業を完了して、故人の兄弟が待っているところもで戻ったのですが、心身ともに疲れているように見え、聞けば75歳にもなる高齢の方で、マンションにようやく辿りついたと思ったら、近隣からのクレームの嵐に襲われて落雷にもあったのですから、若くても参ってしまいます。
このように突然の身内の不幸を悲しんでいる暇もなく、周りの人に謝りっぱなしで、どうしたら良いのか困っている人の力にもなれるのだと思ったら、変死体の現場の苦労など、なんてこともないように思えてきます。