孤独死と遺品整理
私がお手伝いした遺品整理の現場には、最後まで遺族が足を運ぶことのない場合も多く、孤独死を迎える人もいるのですが、その変死体が見つかった部屋を片付けるための見積もりを行ったのですが、立ち会ったのは大家さんでした。
そのアパートの大家さんは、小さい不動産を運営しているようでしたが、見た目は真面目そうな感じで、度の強い眼が目をかけた誠実そうな人柄は、不動産よりは区役所の窓口などにいそうな感じの人でした。
遺品整理をする部屋の中は、腐って肉がくずれる人間だけが発する独特の臭気が立ち込めており、部屋の中を見て回る私の背中にくっつくように大家さんが話しかけてくるのですが、臭いはとれるのかとか、黙ったままにするのはダメですよねとか、告知義務はあるのかとか、完全に質問攻めに合うという感じです。
この合間を縫って、今度は大家さんに遺族の方とは連絡取れるのかと、費用の支払いのは遺族の方々で良いのかを尋ねると、泣き出しそうな声で、費用は遺族が支払いをしてくれる話にはなっているいのですが、全部で4部屋しかないアパートだからほかの部屋の人が出て行かれると大変だというのです。
真剣に取り組むべき問題
実は、このアパートを購入したのはバブルの時期で、投資目的で収益物件と言われるもので、今では考えられないのですが、当時はこの小さいアパートで1億円したようです。
土地の値段が上がるのを待っているのですが、バブルがはじけてからは値が下がる一方でと嘆いている大家さんに、東京のど真ん中で駅も近いし、立地条件はとても良いところではないかと、慰めの言葉をかけるしかありませんでした。
今回請け負った遺品整理のアパートですが、お世辞でも良いとは言えず、確かに都心にあるのですが、駐車場もありませんし、大通りではなく奥まった場所にあり、将来的にも地価が上がる見込みは無いでしょうね。
更に、今回の事でアパートの住人が引っ越してしまったら家賃収入がほとんどなくなってしまうし、死人が出たとなれば噂で入居者も集まらなくなると考えると、運が悪かったというほかありませんよね。
大家さんは、遺族に対して補償交渉を打診したようですが、保証金を放棄する代わりに遺品整理や撤去費用は一切払えないと言われているようで、このように孤独死が増えることで、大家さんのリスクが増えていくことは間違いなく、今後、独居老人が増えていくことは簡単に想像できます。
これによって老人施設やホームレスも増えていくことでしょうし、孤独死というのは、残された人や家を貸す人にとてもリスクがあり不幸なことなのですが、これらを未然に防ぐために、私たち一人一人は勿論のこと、自治体や国が真剣に取り組むべき問題なのです。